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ケガをしたら冷やすのか温めるのか、どちらがいいのですか?
たとえば太ももを打撲したとします。毛細血管が切れて内出血している時に温めると、血行がよくなりさらに内出血が増えて、腫れが増します。つまりケガをした直後には、冷やして血管を縮小させることで内出血を減らし、腫れを少なくするとともに、同時に冷やすことで痛みの感覚を麻痺させるのがよいのです。同じ原理で、ケガをした数時間以内にお酒を飲むと血行がよくなり、腫れや痛みが増すことがあります。
しかし、あまり低温にし過ぎると凍傷になる危険性があるので、ビニール袋に氷水を入れたくらいの温度が安全です。また、あまり長く冷やし続けると、今度は組織の血行が悪くなりすぎて、酸素や栄養が足りなくなります。ケガの状態によりますが、冷やす時間は数十分からせいぜい1〜2時間まででよいでしょう。
打撲して1日から2日くらいで内出血も止まり、腫れもピークに達するので、これ以降は温めてむしろ血行をよくし、組織の活性と再生を促します。組織に酸素や栄養を補給し、老廃物を捨てるためには血行がとても大切です。どのくらい冷やして、その後どのくらいから温めるかは、ケガの程度や部位などにもよりますが、一般的に「最初は冷やして後に温める」と覚えてください。
冷やすべきか温めるべきかを判断するには、風呂に入り、患部を温めた時にズキズキ痛む場合はまだ急性期で冷やすべきであり、患部が気持ちよくなれば急性期を過ぎているので温める頃合いとする方法があります。
かなり以前の話ですが、あるテレビ番組で、若いボランティアを3つのグループに分け、筋肉の炎症、痛みに対して、冷やすのがよいか温めるのがよいかの実験を行っていたことがありました。全員が同じ激しい運動をして、下肢の筋肉に炎症を起こさせ、ひとつ目のグループは運動直後から7日間ほど最後までずっと筋肉を冷やし続け、2つ目のグループは運動直後から7日間ずっと温め続け、3つ目のグループは最初2日間ほど冷やし、3日目くらいから温めるようにしました。結果は、実験途中ではひとつ目の最初から最後まで冷やし続けたグループの筋肉痛が一番少なかったのですが、7日以上たってからの回復は、3つ目の最初冷やして後に温めるグループが一番よい結果となりました。
ケガをした時には、「最初は冷やし、その後は適当な時期から温める」のが正しい対処法です。