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関節は、なぜポキポキ鳴るのですか?
関節などで音が鳴る原因は、まだほとんどわかっていません。しかし痛みを伴わない場合は、特に心配しないでください。
たとえば指の関節をポキッと鳴らすことは特に男性によくあることだと思います。私も医学生時代からずっと周りの整形外科医や解剖医に聞いたり調べたりしてきましたが、じつはまだ、この音の原因はわかっておらず、いろいろな推論が述べられています。
たとえば、関節を曲げた時に関節の中が陰圧になり、わずかに存在する関節液から気泡が発生してその泡が破裂する時の音だという説があります。私もこの説を少し信じています。そのひとつの理由は、一度関節を鳴らすと、しばらくは鳴らなくなることです。一度気泡が破裂すれば関節内に関節液の蒸気が満たされ圧力が陰圧でなくなると考えれば、しばらく鳴らない説明になります。そのうちに蒸気が関節液に戻ればまた陰圧気味になると考えられます。
あまり鳴らすと将来関節が変形する、といわれることもあるようですが、そうではありません。もちろん不必要に鳴らしすぎると関節炎を起こす可能性はありますが、軟骨や骨の変形にまでは影響をほとんど与えないと思われます。
首や腰などでもときどきいろいろな音がします。これは、脊椎の後ろ側にある椎間関節という部分で、関節の袋(カプセル)やカプセルの内側に張り付いている滑膜などがまくれこんで、それが元に外れて戻る時の音である、などと説明されたりします。たしかに、首などで音を鳴らすと、その後少し気持ちがよい時はそうなのかもしれません。カチカチというような音がする時もあります。筋肉や靱帯(じんたい)が鳴る場合もありますが、痛みを伴わなければ、関節の音を気にする必要は特にありません。
膝はいろいろな音がします。ときどき膝が引っかかるような感触の後にパチッと音がしてすっきりすることがあります。これはおそらく、膝関節のカプセルの裏打ちをしている滑膜が徐々にまくれこんでいたのが外れて、正常の位置に戻る時の音ではないかと私は推測しています。それ以外にもたとえば、関節軟骨の表面がざらざらしていて膝蓋骨(しつがいこつ)(おさらの骨)と大腿骨とがこすれ合う、握雪音(あくせつおん)という、雪を握りしめた時のググッという鈍い音などもあります。肩を回すときにグリッとかグリグリというような音を感じる時は、骨と骨との間で腱が挟まれて音が生じている場合があります。
関節や筋肉や腱などいろいろな部位で音がしますが、痛みを伴う音の場合は炎症などを生じている可能性があるので、整形外科の医師に相談してください。