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笑うことと病気には、本当に関係があるのですか?
関節リウマチの専門家である日本医科大学名誉教授の吉野槇一先生は、リウマチの患者さんの目の前で落語家に話をしてもらい、大いに笑った後で、患者さんたちの血液検査をしました。その結果、落語を聞く前に比べて、聞いた後ではリウマチの免疫の検査データがよくなったのです。
リウマチの世界ではとても有名な話ですが、癌の患者さんでも、自分から治すぞという意気込みの強い人の方が、くよくよする人より癌を克服しやすいともいわれています。楽しく笑うことによって、血液中のナチュラルキラー細胞という、免疫をつかさどるリンパ球の能力が高まるそうです。吉野先生によれば、泣ける映画などでもよいので、とにかく自分が楽しくのめり込んだり夢中になったりすることで、免疫機能が低下している状態から正常近くまで戻るそうです。「楽しい笑いは副作用のない薬」と提唱されています。
楽しく笑ったり心から泣いたりすることで、脳内でのストレス状態がリセットされることにより、自律神経系、内分泌系、免疫系の3つがバランスのくずれた状態から回復し、その結果、関節リウマチに限らず、いろいろな病気の患者さんの病状が改善するのだそうです。全身麻酔のもとで手術を受ける患者さんの場合、麻酔をかける前の意識がある時と麻酔がかかって意識がなくなった時では、いくつかの血液検査のデータが明らかに改善する、つまり脳内リセットが生じているとの研究結果も出されています。いつも全身麻酔を受けるわけにはいかないので、何か自分に合った方法で、ストレスや病気がある時に、この脳内リセットを実践できればと私自身も考えています。
とても悲しいことが起こった時に、しばし号泣すると、その後、少しケロッとした感じがするのはこのためだと思います。