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布団やマットは硬い方が体によいのですか?
私の友人に布団などの寝具を製造している会社の経営者がいて、ある時に腰痛に効果的な布団や寝具を商品開発したいと医院に相談に来たことがあります。そのために私も事前にいろいろ調べましたが、結論としては、腰痛一般にどのような布団や寝具がよいかは一概にいえないということがわかりました。
人それぞれの年齢や状態や腰痛の種類によって、布団やマットの柔らかさ、硬さなど、どれが適切かはさまざまです。一般的には、上向きで寝る時に重いお尻が沈み込むと腰を反った形になり、腰痛が生じやすいので、硬い布団やマットが勧められています。しかしこれも状況によります。
私がその友人にアドバイスしたのは、寝返りがしやすい寝具が一番よいだろうということでした。寝返りはとても大切な運動です。寝返りが自分でできない脊髄損傷の患者さんでは、数時間同じ姿勢で寝ているだけで床ずれを起こしてしまいます。皮膚や皮下が圧迫されて血行障害を起こすからです。それだけでなく、じっと寝ていると筋肉や関節がこわばります。レム睡眠という、体は寝ていても脳が活動している時間に寝返りで自然に体をほぐしているのです。朝起きがけに腰痛や膝痛が起こりやすいのは、夜に筋肉や関節が固くなっていて急に動かすことによるので、寝ている間に自然に寝返りがしやすい寝具が、体によいのではないでしょうか。