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筋肉の不全断裂(肉離れ)

※このページは、総論の「肉離れ」を引用しています。

  筋肉線維や筋膜が何気ない動作やスポーツで部分的に断裂する状態です。歩いているときや運動時に突然、大腿や下腿に激痛あるいは鈍痛を感じます。いきなり歩けなくなるくらい痛い場合もあれば、徐々に痛みが強くなることもあります。誰でもいつでも起こりえますが、スポーツのウォーミングアップが足りなかったり、信号が赤に変わるときにいきなり走るなどするとよく生じます。多いのは大腿の前面の大腿四頭筋、後面のハムストリングス、下腿後面の下腿三頭筋などです。
 急性期は有名なRICE療法を行います。R(rest)は安静、I(icing)は冷やす、C(compression)は圧迫、E(elevation)は挙上を表します。局所の筋肉が多かれ少なかれ断裂しているので、初期には安静が必要です。完全に断裂してはいないので、手術やギプスは必要ありませんが、松葉杖を使う方がよいこともあります。内出血するので、最初の日は冷やします。挙上は出血しているときの原則なので、肉離れを起こした当日は、寝るときに下肢を座布団などで少し挙上している方が楽で、しかもさらなる出血が少なくなります。また、圧迫する場合は局所だけにしてください。腫れが多少ましになります。下肢の全周に弾力性のある包帯をきつく縛ってしまうと、それより先の静脈の還流が悪くなるのでやめてください。特に下腿の場合は筋肉の内圧が高くなりやすく、静脈還流が途絶えて筋肉壊死になるいわゆるクラッシュシンドローム(挫滅症候群ざ(めつしょうこうぐん))が起こりえるので、軽い場合はともかく、下腿全周を強く締めることはお勧めしません。

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