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前脛骨筋炎(ぜんけいこつきんえん)(足の三里)

 向こうずねの外側にあって、足を挙上する働きをする前脛骨筋の疲労あるいは炎症です。歩いたり走ったりジャンプしたりするとき、ほとんどは下腿の後ろにある、からだ中でも大きな筋肉である下腿三頭筋が活躍します。これに対して、前脛骨筋は主に足先が下がってつまずかないように足を上げるためだけの筋肉であるため、下腿三頭筋に比べて小さくなっています。このようにむしろ小さな筋肉のため、長時間歩行したりすると、疲れて痛みを生じやすいのです。特に膝関節の外側の少し下の筋肉にいわゆるツボがあります。ここは昔から「足の三里」といわれてきました。松尾芭蕉は「奥の細道」の最初の部分で、「三里に灸すゆるより」と、ここにお灸をすえてから奥の細道に旅立っています。昔からある有名なツボです。手の三里(「上腕骨外上顆炎」)もご覧ください。
 長く歩くと、この部分が痛くなるのは人間にとってある意味では普通のことなのかもしれません。ここに痛みを感じれば、少し休んでほしいという筋肉のSOS信号なのではないでしょうか。痛くなる前、痛くなった後に、足関節をゆっくり上や下へ動かして、この前脛骨筋をほぐします。強い指圧は禁物です。一時的に痛みを抑えても、その後で筋肉の炎症がさらに強くなることがあります。消炎鎮痛剤の湿布やクリームを松尾芭蕉のように歩く前から使うのもよいと思います。もちろん痛みを生じてからもこれら湿布やクリームは有効です。
 坐骨神経痛があるときにもこの足の三里の部分に神経性の痛みを生じることがあります。手の三里の場合も多くは筋肉、腱の痛みですが、時に、頚神経根性の神経痛が生じることがあります。これら三里は筋肉痛と神経痛の交差点のようだと私はいつも考えています。

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