足趾伸筋腱炎(そくししんきんけんえん)
ほとんど教科書には記載されていませんが、しばしばある病気です。足は甲が高くなっていて、特に第1趾(足の親指)から甲の中央に指でなぞっていくと少し飛び出したところがあります。もともと楔状骨(けつじょうこつ)と中足骨という骨の関節で、足のアーチのために少し角度がついていて関節の端と端が誰でも少し角張っています。この上に第1趾の伸筋腱が通っており、しかも靴はその部分を押さえるような形でできています。年齢とともにこの関節が 変形性関節症 になり、さらに飛び出してくることもあります。
高校生くらいから高齢の方まで老若男女の方がこの部分の痛みで来院されます。湿布やクリームで様子を見て靴の工夫をします。きつすぎる靴はもちろん病気の原因にもなりますが、緩すぎる靴も靴の中で足が動きすぎて炎症を起こすこともあるので自分にあった靴を選んでください。靴を1日の中で履く時間を減らすことも効果的です。
骨の飛び出しが強くてどうしても靴が履きにくい場合に、手術で飛び出した部分を削ることがあります。レントゲン検査で骨の変形が少なくても、軟骨が増殖して飛び出している場合もあります。私は2回ほどこの部分を削る手術をしたことがあり、術中かなり飛び出した骨を削って平らになったと思っても、術後レントゲン検査をもう一度すると案外削れたように見えないことを経験しました。もちろん症状は治まっていますが、骨の飛び出した部分を平らにするのはなかなか難しいものです。