坐骨神経痛
※このページは、腰部の「ヘルニアによらない坐骨神経痛」を引用しています。
脊椎の中心を通る脊柱管から枝分かれした直後の神経の枝を神経根といいます。それが集まってできた太い坐骨神経が、殿部(でんぶ) あたりで何かの原因で神経痛を起こすことがあります。ヘルニアなどによって脊柱管内で起こる神経痛を根性坐骨神経痛と呼ぶのに対して、この場合を単に坐骨神経痛と区別することがあります。症状はヘルニアなどによる根性坐骨神経痛とほとんど同じですが、MRI検査でヘルニアや側方ヘルニア(脊柱管の左右の端に出るヘルニア)もなく、原因がはっきりしない坐骨神経痛は案外多いといわれています。
梨状筋症候群では、坐骨神経が下肢を外に回す外旋筋の1つである梨状筋の下をくぐって腰椎から殿部へ出てくるところで、筋肉に締め付けられて神経障害が生じます。あるいは長時間堅いイスに座ったときに坐骨神経が殿部で圧迫されて症状をきたすこともあります。
治療としては、筋肉の緊張を取るように軽いストレッチを行い、消炎鎮痛剤、リリカ、ビタミンB12の服用、局所へのブロック注射などが行われます。どうしても症状が軽減しないときは、梨状筋を切離することもあります。診断に苦慮する神経痛です。MRI検査で腰椎に原因が見つからない坐骨神経痛の場合に、梨状筋症候群と診断されることも多いかもしれませんが、すべてが梨状筋症候群とは限らず、いろいろな部位で神経が圧迫されうるのだと考えています。