薬はじょうずに使えばすばらしい治療法
薬害が時々起こるためでしょうか、薬を服用するのに慎重な患者さんがいます。確かに不必要に薬を飲むことはよくないし、副作用も十分ありえます。しかし、本来薬は、病気を治すためや痛みを軽減するために、多くの研究者や企業が努力と時間と経費をかけて開発したものです。一流の製薬会社なら、発売前も発売後も副作用調査を十分にしています。それでも副作用などは起こりえますが、薬は病気を治し健康を取り戻すための有力な方法なのです。
第二次大戦中のイギリスのチャーチル首相が、実用化されたばかりの抗生剤ペニシリンを服用して肺炎を克服し、イギリスを勝利に導いたという話は有名です。ただ実際には、チャーチルはペニシリン以外のサルファ剤で回復したようです。明治のころまで、人間の平均寿命は50歳以下でした。原始時代から人間の平均寿命はわずかずつしか延びてきませんでした。しかし、20世紀後半から、急速に世界の先進国の平均寿命が延びています。これは水や環境などの公衆衛生や食糧事情が向上したことも大きな要因でしょうが、同時にいろいろなすばらしい薬剤が開発されて、乳幼児の感染症による死亡率が減ったことももう1つの大きな要因です。抗がん剤、抗生剤、血圧や糖尿病の薬なども、病気を治し寿命を延ばすのに大きく役立っています。
医師は、患者さんによかれと思って薬を処方しています。副作用に対する不安や疑問があれば遠慮なく医師に相談しながら、薬は効くものだと思って服用してください。
何か副作用などがあるときはすぐに主治医に伝えてください。医師に相談するのを遠慮した結果、後で重大な障害をきたせば、患者さんにとっても医師にとっても困ったことになるので、早めに相談してください。