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総論 > 全身に起こりうる病気

変形性関節症

 加齢とともに関節の軟骨や骨が変性したり変形したりすり減ってきて、痛みや機能障害をきたす病気です。特に原因のない場合と過去の骨折や捻挫(ねんざ)、感染などの原因がある場合とがあります。全身のどこの関節でも起こりますが、体重のかかりやすい股関節や膝関節に多く生じます。指の第一関節に変形と痛みを生じる ヘバーデン結節 も変形性関節症です。女性のほうが男性よりなりやすいのですが、その理由はわかっていません。
 歯がすり減ってくるのも老眼になるのも耳が遠くなるのも同じ現象と考えてください。一度変形した関節は元に戻ることはありませんが、歯の治療をしたりめがねを使うように、変形性関節症もじょうずにつきあい、適切な治療をすれば大きな問題なく一生を過ごせます。変形性関節症も日々のメンテナンスが重要です。詳しくは各論を参考にしてください。
 下肢の関節であれば、肥満の人は体重を減らすことが大事です。減らすのが難しければこれ以上増えないように心掛けましょう。体重が2kg減れば、2Lのペットボトル1本分の重さが減ります。2Lのペットボトルを一日中ぶら下げて生活する大変さを想像してみてください。関節は滑らかに動くすばらしい器官ですが、さすがに使いすぎたり負荷をかけすぎると摩耗(もう)してきます。じょうずに一生使えるように工夫しましょう。しかし、あまりにも変形がひどく消炎鎮痛剤やリハビリや装具などでも痛みが我慢できないときは手術した方がよいこともあります。主治医とよく相談してください。

井尻整形外科井尻整形外科

院長/医学博士 井尻慎一郎
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