少し難しい病名ですが、切り傷などがないのに強い力がかかったりしたために、表面の皮膚は正常でも内部で腱が切れるケガです。たとえば、重い物を急に持ったときに、肩の前方で上腕二頭筋の長い方の腱が切れることがたまにあります。これはつなぐことは不可能で、またそのままリハビリすれば大きな問題のないケガですが、関節リウマチの方で手の骨の変形や滑膜(かつまく)が増殖したり、腱が弱くなったりして、小指や薬指を伸ばす腱がいつの間にか切れて指が伸びなくなることもたまにあります。このときは手術をする場合も、そのまま様子を見る場合もあります。私は病院勤務医時代、何人もの関節リウマチの患者さんの皮下腱断裂の手術をしましたが、開業してからは手術をしなくても、しばらくすると案外指が伸ばせるようになるケースを経験するようになりました。