遠位指節間(DIP:distal inter phalangeal)関節(第1関節)変形性関節症(ヘバーデン結節)
手の指の第1関節(遠位指節間関節、DIP関節)の変形性関節症で、40歳以降の女性に多い病気です。女性の方が男性より約10倍多いといわれています。加齢や家事や仕事で指をよく使うことも原因の1つです。最初は、指のDIP関節に腫れと痛みが生じます。指先に力を入れると痛むことが多く、症状が進むと安静時にも痛みを生じるようになります。1指のみの場合も多数指の場合もあります。さらに症状が進むと、指の変形や結節状の隆起が生じるようになります。結節状の隆起の中には粘液嚢腫(ねんえきのうしゅ)を伴うことがあります。粘液嚢腫が自壊してゼリー状の粘液が出たり、あるいは患者さん自らが針でついて粘液を絞り出すこともあります。この場合は細菌感染の危険があるので、きちんと消毒をする必要があります。
痛みがない場合、変形自体は放置していても大きな問題はありませんが、痛みや腫れなどの炎症が強いときは、さらなる変形を防ぐために消炎鎮痛剤の湿布やクリームなどを塗布します。昼間あるいは夜間の軽いテーピング固定やプラスチックの小さな装具による固定なども効果的です。また、パラフィンなどの温熱療法も慢性の疼痛を軽減する効果があります。
粘液嚢腫が頻繁に生じて困ったり、関節の脱臼や不安定性のために指先に力が入りにくいときや変形を矯正したいと強く望む場合には関節固定術などの手術療法もありますが、あまり一般的ではありません。