グロムス腫瘍(しゅよう)
指の先の小さな部分に電気が走るような激痛が時々生じる病気です。原因は動脈と静脈の吻合部の良性の腫瘍ですが、レントゲン検査ではもちろん見えず、MR検査でも小さすぎて見えないことがほとんどです。診断する医師にこの病気の知識がないとほとんど診断がつきません。以前、私のクリニックに20代の女性が指の痛みで来院されました。時々刺すような痛みが出て我慢できないほどでした。私は症状からグロムス腫瘍を疑い、大きな病院の手の外科の専門医を紹介しました。結果はそのとおりで、簡単な手術で腫瘍を摘出して痛みは治りました。手術後に報告に来られたその患者さんが、「今まで15軒ほど病院や医院を受診して誰も診断してくれず、詐病だともいわれていたのが治ってうれしい」と私の前で泣かれたときは、この病気を知っていてよかったとつくづく思いました。