肩鎖関節炎(けんさかんせつえん)
肩の病気でかなり見逃されていると思われます。私は患者さんとの問診と診
察で痛みやしびれの場所をかなり重視して、必ず痛みの場所を探すようにして
います。肩の上方に痛みがあるときは鎖骨と肩甲骨の間の肩鎖関節が炎症を起
こしていることがあります。
原因の多くは肩鎖関節の使いすぎなどによる炎症です。中年以降では次に述べる変形性肩鎖関節症もあります。ほとんどの場合、この部位の炎症と診断がつかなくても肩関節周囲炎と同じ治療で治っていきます。肩関節周囲炎は骨に異常がなくて、筋肉や腱や靱帯(じんたい)の炎症や損傷が原因ですが、広い意味ではこの肩鎖関節炎も肩関節周囲炎といえると思います。
治療は肩関節周囲炎と同じで最も大切なのは運動療法ですが、適宜湿布や消炎鎮痛剤を使います。しかし、この部位の痛みとはっきりわかれば、ステロイドホルモンのケナコルトAを0.5mlほど、同じ量の局所麻酔剤と混ぜて関節内に注射すれば劇的に症状が改善することが多いです。原則として注射は運動療法や薬でもよくならないときに用いるべきですが、肩鎖関節炎には最初から使えば患者さんに感謝されることがほとんどでした。