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変形性股関節症・単純性股関節炎

※このページは、股関節の全般の「変形性股関節症」および「単純性股関節炎」を引用しています。

※変形性股関節症
 股関節の軟骨がすり減ったり、骨変化をきたしたりする病気です。女性に多く、原因が明らかでない一次性と、原因が明らかな二次性があります。一次性は加齢による変化と考えられます。従来、欧米では一次性が多く、日本では二次性が多いといわれてきましたが、日本でも一次性の変形性股関節症が増えつつあります。
 二次性の原因には先天性股関節脱臼(かんせつだっきゅう)、臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいぜん)、化膿性股関節炎、結核性股関節炎、股関節の骨折、ペルテス病、大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうしょう)、大腿骨頭すべり症、関節リウマチ、強直性脊椎炎などがあります。
 症状は股関節に痛みがあればまずこの病気を疑いますが、痛みは大腿や殿部(でんぶ)、腰部に出ることも少なくありません。そのため、腰痛で来られた患者さんが腰椎のレントゲン写真で異常がなく、原因不明のまま医師に放置され、実は変形性股関節症であったということがたまにあります。診断のときに少しでも股関節症を疑えば、股関節のレントゲン写真を1 枚でも撮ることで診断がつきます。なお、病状が進行すると股関節の動き(可動域)が悪くなり、跛行(こう)(びっこ)が生じることもあります。
 治療は、年齢や性別、関節の破壊度に応じて適宜行います。基本的には体重のコントロール、跳んだりする運動を控える、杖をつく、一度に長く歩かない、などの生活指導をします。痛みや変形がまだ少ない初期の段階では、股関節周囲の筋力の訓練や関節可動域の維持のためのリハビリを行います。まず家で体操をし、余裕があればプールで歩くのがよいでしょう。
 消炎鎮痛剤は痛みに応じて適宜使えばよいのですが、痛みを抑えすぎると関節の破壊が進んでも我慢できてしまうので、主治医と相談しながらじょうずに薬を使いましょう。
 痛みが保存的治療で取れない場合は、人工関節置換術という優れた手術があるので、主治医とよく相談してください。

※単純性股関節炎
 3~12歳くらいの男の子に多く、ケガなどの外傷がなく、まったく原因がなかったり、あるいは風邪などのあとに、片方の股関節を痛がる病気です。最初は膝を痛がったり、大腿を痛がることもあります。ふつう発熱などはしません。片方の股関節を少し曲げた格好が最も楽なようです。股関節を深く曲げたり伸ばしたりすると痛がり、歩くときに跛行(こう)(びっこ)をきたします。外傷説やアレルギー説などありますが、原因は不明です。数日から10日間ほどで自然に治癒します。レントゲン検査ではほとんど異常が見られません。ただ、関節のすき間が反対側の関節より空いていて、そこに水が溜まっている可能性もあります。学童期の男の子が時々股関節や膝の痛みで外来に来られ、診察するとこの単純性股関節炎であることが多く、私の印象では、子どもが気がつかないうちに、小さな捻挫(ねんざ)などのケガをしているのではないかと思っています。化膿性股関節炎 やペルテス病(次項)と鑑別をする必要があります。おかしいと思ったら、ぜひ整形外科を受診してください。

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