先天性股関節脱臼(こかんせつだっきゅう)
出生前あるいは出生後に大腿骨頭が関節包に包まれたまま脱臼している状態です。これに対して外傷性脱臼は関節包が破れて大腿骨頭が飛び出します。遺伝性の要素もありますが、子宮内での股関節の異常肢位や骨盤分娩、あるいは出生後の不適切なおむつの付け方などが原因になることが多く、最近では胎教やおむつ指導などにより、この病気は激減しています。女児に多く男児には少ないのですが、男児の場合むしろ治りにくい傾向があります。新生児検診で見逃されないことが肝要です。
軽度の脱臼で新生児期であればおむつを厚くつけて股関節を開排位に保つことで、多くの場合、正常に戻ります。
乳児期になっても脱臼が整復されないときは、生後3 ヵ月ごろよりリーメンビューゲル装具を装着すると、たいてい数週間で脱臼が整復されます。しかし、この装具は2ヵ月以上装着するとかえって障害をきたすことがあるので注意が必要です。
整復されないときは入院して、オーバーヘッドトラクション法などを試みます。それでも整復困難なときは手術が行われます。