ペルテス病(小児)
幼児期に大腿骨頭の近位骨端核の阻血性壊死(そけつせいえし)をきたす病気です。男児が女児の5 倍ほど多く、男の子が股関節痛を訴えた場合に見逃してはならない病気です。最初は膝の痛みを訴えることも多く、また、初期ではレントゲン検査ではっきりしないことも多いため、この病気を常に念頭に置き、時には期間をおいてレントゲン検査をし直すことも必要です。症状としては、股関節の可動域に制限があり、屈曲外転障害と、特に屈曲内旋障害がみられます。
診断が確定すれば、大腿骨頭の骨端核の壊死部が修復されるまで、いかに形を保つように愛護するかが大事です。免荷療法やギプス療法、装具療法、場合によっては手術が行われます。この病気は特に治療が難しいので必ず専門家に受診しましょう。神戸市立医療センター中央市民病院では元整形外科部長の故田村清先生がペルテス病を専門の1つとされていたため数多くのペルテス病の子どもたちが入院していました。最初は下肢を牽引(けんいん)して股関節の圧力を下げつつ、リハビリで股関節の可動域を回復させます。その後、英語の大文字の「A」に似ているのでAキャストと呼ばれるギプスを下半身に巻くAキャスト療法が行われていました。成績はかなりよいのですが、時には巨大骨頭などが生じて骨切り術や臼蓋(きゅうがい)形成術などを必要とすることもありました。