大腿骨頭壊死症
※このページは、股関節の全般の「大腿骨頭壊死症」を引用しています。
大腿骨の骨頭部分の骨が壊死し、変形と痛みと可動域制限を起こす病気です。骨折などの外傷やダイビングによる血管の空気塞栓(そくせん)、放射線治療など、原因がわかっている症候性大腿骨頭壊死症と、はっきりした原因のわからない特発性大腿骨頭壊死症があります。特発性には多量のステロイド投与によるもの、アルコール性のもの、まったく原因のわからない狭義の特発性大腿骨頭壊死症などがあります。
股関節痛が多いのですが、変形性股関節症と同じように最初は大腿痛や腰痛があることもあります。段差を飛び降りたり踏み外したときに初めて股関節痛をきたして、レントゲンなどでこの病気が判明することもしばしばあります。レントゲンでわからない最初期のときにもMRIや骨シンチグラフィ検査で診断がつくことがあります。骨シンチグラフィは高価であることから、施設が限られ、最近ではMRI検査がよく行われます。
壊死の部分が少なく、まだ関節面が崩れていないときには、保存的に治療を行います。荷重のかかるスポーツや仕事を制限し、場合によっては杖や松葉杖をつきます。同時に筋力や可動域の維持のためにリハビリを行います。2~3年で骨壊死部分が修復されることもあります。
壊死が進行して大腿骨頭の関節面が陥凹(かんおう)すると骨盤の臼蓋(きゅうがい)側にも変形が生じるようになり、変形性股関節症の状態に似てきます。痛みが強くて日常生活に支障がある場合は手術が必要になります。病態に応じて、骨切り術、回転骨切り術、人工骨頭置換術、人工股関節置換術などがありますので、経験豊富な主治医に相談してください。