冷やすか温めるか
まず打撲の場合ですが、たとえば太ももを打撲したとします。毛細血管が切れて内出血しているときに温めると、血行がよくなり内出血が増えて、腫れが増します。ですからケガをした直後には、冷やして血管を縮小させることで内出血を減らし、腫れを抑えるとともに、冷やすことで痛みの感覚を麻痺させるのがよいのです。同じ原理で、ケガをした数時間以内にお酒を飲むと血行がよくなり、腫れや痛みが増すことがあります。
打撲して1 日か2日くらいで内出血も止まり、腫れもピークに達するので、これ以降はむしろ温めて血行をよくし、組織の活性と再生を促します。組織に酸素や栄養を補給し、老廃物を捨てるためには血行がとても大切です。
では、どのくらい冷やして、その後どのくらいから温めるとよいのでしょうか。冷やすべきか温めるべきか判断するには、風呂に入り、患部を温めたときにズキズキ痛む場合はまだ急性期で冷やすべきであり、患部が気持ちよければ急性期を過ぎているので温める頃合いとする方法があります。ケガをしたときには、「最初は冷やし、その後は適当な時期から温める」のが正しい対処法です。
通常のケガは急性の状態といえますが、いわゆる腰痛や膝関節炎、変形性膝関節症の痛みなどに対して、冷やすか温めるかは場合によります。マラソンをした後に腰や膝関節が腫れて痛むときや、ピッチャーをした後で肩関節が熱を持って痛むときには、数十分間冷やす方が後々の痛みや腫れを抑える効果があります。逆に痛みや腫れがそれほどでもないときは、最初から温めた方がよい場合もあります。腰痛は、いわゆるぎっくり腰など急性でとてもひどい痛みの場合でも、最初から温めた方が楽になることが多いようです。
冷やすか温めるかは、実際にやってみて、どちらが気持ちがよいかで決めるのも1つの方法です。ただし急性期の後の慢性期にはケガの場合と同様に温めることが基本となります。