老化
紀元前の中国・秦の始皇帝のころからすでに「不老不死」は人間の願望であり、「老いること」「死ぬこと」は人間共通の恐怖でした。21世紀になり医学や公衆衛生の進歩のおかげで人間の平均寿命は飛躍的に延びたにもかかわらず、「生物はなぜ老い、なぜ死ぬのか(事故や病気ではなく寿命のために)」は、まだよくわかっていません。老化学説は研究者の数だけあるともいわれています。
一般的に、老化が大きく関係している病気としては、老眼、白内障、難聴、認知症、歯がなくなる、などがあります。高血圧や動脈硬化、糖尿病などは必ずしも老化現象ではありませんが、高齢になればなるほど発病する率が高くなるので、多少老化に関連があるといえるかもしれません。
整形外科の場合、変形性関節症や変形性脊椎症などは老化現象といえます。考え方として、私は患者さんに「われわれは中古車だから新車のように時速100キロで何時間も走れないが、50キロで1 時間なら走ることができる」と説明しています。「だから、日々のメンテナンスを行って、大事に使えばよいのではないですか」と言うと、ほとんどの方が納得されます。