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総論 > ケガ(外傷)

脱臼(だっきゅう)

 骨と骨をつないで動く部分を関節といいますが、本来あるべき骨同士の位置がずれる状態を脱臼といい、完全にずれる完全脱臼と一部関節面が合っている不完全脱臼(亜脱臼)があります。原因としてケガによる場合と何かの病気による場合があります。関節の外観が異常であったり、関節が動きにくく、ふだんなら動くところがバネのように戻ってしまうような状態になります。
 ケガが原因の場合は血管や神経の損傷を起こさないように早急に整復する必要があります。また脱臼したまま日時が経過すると元に戻らなくなります。昔は突き指をすると引っ張るようにといわれていました。これは指の関節が脱臼している場合、すぐに整復することを示しています。しかし、脱臼がなければ引っ張ることはかえって関節を傷めることになるので、脱臼しているかどうかをよく観察する必要があります。整復後は適宜関節を固定して再脱臼を防ぎ、破れた関節包や靱帯(じんたい)が修復されるのを待ちます。それぞれの脱臼の程度や部位に応じて固定期間を考慮し、その後は関節の拘縮(こうしゅく)が生じるので、徐々に屈伸をして関節が動くようにリハビリをします。
 ケガが原因でない場合、先天性のものや病的なもの、たとえば麻痺があって筋力が低下して肩関節が緩んで脱臼したり、関節液が溜まりすぎて関節面がずれる場合などがあります。このようなときはそれぞれの病気を治す必要があり、整形外科を受診してください。

井尻整形外科井尻整形外科

院長/医学博士 井尻慎一郎
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