偽痛風
60~70歳以上の方に多く、痛風様の急性関節炎を起こす病気です。痛風性関節炎は関節に尿酸ナトリウムの結晶が析出しますが、偽痛風ではピロリン酸カルシウムの結晶により関節炎が誘発されます。
発熱や全身倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。最も多く見られるのは膝関節ですが、痛風に比べて手、足、肩などの大きな関節に多い傾向があります。片側のこともあれば、両側の関節に発症することもあります。
原因はわかっていませんが、誘因のないこともあれば、外傷、外科手術や脳梗塞(のうこうそく)、心筋梗塞などの重篤な病気に惹起(じゃっき)されることもあります。
レントゲン検査では、軟骨の石灰化が起こりやすく、膝関節では半月板の石灰化が特徴的です。関節液は混濁しており、顕微鏡でピロリン酸カルシウムの結晶を認めれば確定診断がつきますが、化膿性関節炎との鑑別が大切です。
治療は急性の炎症が強く関節液が多いときは、関節液の吸引穿刺(せんし)とともに水溶性ステロイドホルモンを関節内に注入すると著効します。しかし、化膿性関節炎の場合はステロイドの注入は禁忌なので注意が必要です。そのほか、変形性関節症に準じて非ステロイド性消炎鎮痛剤などの投与を行います。