血行障害、血流障害
人体の組織は生きるために酸素と栄養を必要としています。また老廃物も排出しなくてはなりません。そのためには一定の血行、血流が大切です。心臓から出た動脈が酸素と栄養を送り出し、静脈が二酸化炭素と老廃物を持ち去ってくれます。ケガや組織が腫れたとき、血管が切れたり圧迫されて血行障害を生じることがあります。また動脈硬化や40歳までの喫煙者の男性に多いバージャー病、女性に多いレイノー病などが原因になることもあります。
血行が極端に悪くなる、あるいは途切れると、その先の組織は壊死してしまいます。そこまで血行が悪くならなくても、少なくなればその先の組織に痛みや障害を生じます。
原因があれば、それをできるだけ早く取り除くようにします。原因が簡単には治療できない場合などには、血管を広げる薬剤や血液をさらさらにする薬剤を服用します。太い血管が詰まって大きな障害がある場合には、血管外科や循環器科でバイパス手術、血管を広げるステント術、風船で血管を広げる血管形成術などを施すこともあります。血管を収縮させる交感神経が緊張している場合、たとえばバージャー病では交感神経の緊張を下げるような治療も行われます。
21世紀は糖尿病の世紀といわれるように、糖尿病の患者さんが増えつつあり、その1 つの合併症である動脈硬化も増えつつあります。糖尿病なら内科の専門医を受診してください。バイパス手術や血管形成術は血管外科、放射線科、循環器科、形成外科、脳外科などでそれぞれ行われています。
血液を送る動脈の障害に対して血液を心臓に戻す静脈の障害もよくあります。中年以降の女性に多い下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)や深部静脈血栓症(けっせんしょう)、あるいは静脈炎などがあります。これらの病気の場合、血管外科を受診してください。