2～6歳の小児の手を引っ張ったりしたとき、その手を上げなくなり、痛がる状態です。これは橈とう骨こつ頭とうを包む肘の輪状靱じん帯たいから橈骨頭がわずかにずれるこ
とにより生じるといわれています。レントゲン検査では異常を認めません。
　座った親に子どもをこちら向けに抱いてもらい、子どもの肘を軽く固定し、前腕を回外し肘を屈曲していくと、多くの場合、こくっという整復音とともに整復されます。回内にした方がよいときもあります。整復されると数分で子どもは元気になり肘を動かして腕を挙上できるようになります。
　くせにはなりませんが、親が引っ張ったりすると再び肘内障を生じることはあります。子どもが成長すれば肘内障になることはなくなります。
　これとは異なり、強く引っぱったということが明らかでなく、特に転倒した場合は注意が必要です。上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)、上腕骨外顆骨折、上腕骨頚部骨折、鎖骨骨折、橈骨頭骨折などを見逃さないことが大切です。