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腕 > 上肢の神経痛

手根管症候群

※このページは、手の手のひら側の「手根管症候群」を引用しています。

 しばしば夜間や夜明けごろに片手あるいは両手の親指から薬指の半分までの手のひら側にしびれや痛みを感じることが症状の特徴です。しびれは必ずしもこれらすべての指に生じるとは限らず、1~ 2本の指だけの場合もあります。小指はしびれることは少なく、また手の甲側はほとんどしびれません。前腕にしびれが走ることもあります。手を振るとしびれがましになることもあります。症状が悪化すると1 日中しびれを感じるようになり、さらに病状が進むと物をつまむ力が弱り、親指の付け根の筋肉が萎縮してきます。
 手根管症候群は男性より女性の患者さんが4~5倍多く、また妊娠期と閉経期の女性に多いという特徴があります。関節リウマチ、透析、骨折による骨の変形などが原因になりえますが、多くは不明です。これはいろいろな理由により、手のひらの奥にある手根骨が作るアーチと屈筋支帯に囲まれた手根管と呼ばれる場所で、手の指を曲げる腱と親指から主に薬指の半分まで分布する正中神経が窮屈な状況になり、最も弱い正中神経が麻痺を起こすために生じる病気です。
 手関節を手のひら側に強く屈曲するとしびれが増強することや、手のひらの付け根をたたくと電気が走るような症状が出ることなどが診断に役立ちます。
 治療はまず手関節をなるべく安静にすることです。手関節をあまり屈伸しすぎないよう、装具で夜間などに固定することが有効です。さらに、神経の炎症を抑えるための消炎鎮痛剤や神経の活動を高めるビタミンB12の服用なども有効です。痛い方法ですが、正中神経にステロイドホルモンと麻酔薬をブロック注射することもあります。手術をするほどでないけれど、しびれや痛みの強い患者さんにプレドニゾロンを1週間1日10mg、その後1日5mgを数日と、徐々に減らして服用してもらうと、多くの患者さんで症状が軽減し、その後はビタミンB12や湿布でコントロール可能になります。
 これらの保存的治療でどうしても症状が改善しない場合や筋肉の萎縮や指の運動麻痺を生じているときは、少し早めに手根管を覆っている靱帯(じんたい)を切る手術をします。ある程度経験のある整形外科医なら30~40分ですむ簡単な手術ですが、靱帯を切り残さないように完全に切るなどのこつがあるので、経験を積んだ医師に手術をしてもらうべきでしょう。指の運動麻痺が強い場合は腱の移行術を行います。

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院長/医学博士 井尻慎一郎
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