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腕 > 上肢の神経痛

橈骨神経障害(とうこつしんけいしょうがい)(下垂手(かすいしゅ)など)

 上腕骨骨折などの外傷による麻痺もありますが、ここでは明らかな外傷のない麻痺について述べます。二の腕(上腕部)を走行する橈骨神経が何かの原因で圧迫されて生じる麻痺です。朝起きたとき、電車で居眠りをして起きたときに、片方の手関節が上がらない、だらんと落ちたままになるなどの症状が出ます(下垂手)。指や手関節は曲がります。特に指は伸展する(伸びる)のですが、指の付け根の関節(MP関節)は伸展できません。しびれが手の甲側にある場合もない場合もあります。
 多くの患者さんは寝起きに突然、手が伸展できなくなるので驚きと不安で来院されます。しかし、内科や外科の医師はこの病態を知らない方が多く、診断がついていないこともしばしばです。
 神経は軽い圧迫でも麻痺を生じることがあるので、普通は筋肉の中で筋肉のクッションに守られて走行しています。上腕骨部の橈骨神経は上腕骨に接して走行するために、筋肉のクッション効果が少なく、麻痺を生じやすいのです。上腕部(二の腕)を何か硬いものに押しつけているときに麻痺が生じやすくなります。たとえば、椅子の背もたれに腕を載せてテレビを見たり、電車の手すりに腕を載せて居眠りしたり、奥様の頭を載せて寝込んでしまったり。これらを英語では、Saturday night palsy(土曜日の夜の麻痺)とか honeymoon palsy(新婚旅行麻痺) というそうです。
 治療は、とりあえず様子を見るのですが、ビタミンB12の服用が効果的です。麻痺は1日で治癒することもあれば、数ヵ月かかることもあります。下垂手で不便なときは、手関節を固定する装具をつけると多少の不便は解消されます。まれですが、3~4ヵ月以上麻痺が改善しないときは、電気生理検査などを行って、診断と神経の損傷部位がはっきりすれば、神経剝離術などを必要とすることもあります。記録では開業後14年半で47人の患者さんがおられます。

井尻整形外科井尻整形外科

院長/医学博士 井尻慎一郎
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