胸椎・頚椎・腰椎の棘上靱帯(きょくじょうじんたい)の炎症
脊椎の一番後ろの中央には棘突起という、恐竜の背中にあるようなギザギザの突起があります。この棘突起を上下につなぐ棘上靱帯が使いすぎなどによって炎症を生じた状態です。背骨は胸椎が12個、腰椎が5個ありますが、必ずしもまんべんなく曲がったり伸びたりしません。そのためにある部位の椎体にヘルニアや分離症、骨棘などをきたすのですが、そのよく動く場所の棘上靱帯も炎症を起こすことがありえます。背中や腰の中央のある狭い部位に、動くと痛みを生じる場合、その可能性があります。背中の中央が痛いとき、椎体骨折や椎体の感染症やがんの転移もありえますが、それらが否定された場合は、靱帯の炎症かもしれません。適度な体操をして靱帯をほぐし、同じ姿勢をしないようにして、湿布やクリームを使います。痛みが強いときはケナコルトなどのステロイドホルモンの注射が症状を劇的に和らげることがあります。一度炎症が治まればその後はそれほど痛みを感じないことが多いようです。
比較的若い女性に多く、以前、脊椎過敏症とか棘上靱帯過敏症といわれた病気はこの靱帯の炎症だと私は考えています。「脊椎過敏症」という病名は安易に付けるべきでないといわれていますが、靱帯の炎症であれば普通に起こりうると思います。