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ヘルペス性肋間神経痛

※このページは、総論の「ヘルペス」 および 前項の「肋間神経痛」を引用しています。

※総論「ヘルペス」
 皮膚科領域の病気ですが、ときどき整形外科でも治療します。「ヘルペス」は水ぶくれの集まった状態をあらわし、帯状疱疹ウイルスが原因となって起こります。小さいときにかかった水ぼうそうが治った後にもウイルスが神経細胞の中に潜んでいて、あるとき、また病気になってしまうのが帯状疱疹です。 
 ストレス、疲労、老化、抗がん剤やステロイド剤などの治療によってからだの免疫力・抵抗力が低下したときに、潜んでいたウイルスが活発になることにより生じます。水ぶくれは顔、背中から胸、腹部、手足などに、必ず左右の片側に末梢神経の走行に沿って帯状に広がります。最初は皮膚の痛みやかゆみが生じ、数日後に水疱が現れ、1週間ほどで水疱は破れ潰瘍(かいよう)になったりします。さらにかさぶたになって消えていきます。
 以前は帯状疱疹後の神経痛がやっかいでしたが、今はとてもよい抗ウイルス薬(たとえばバルトレックス、ゾビラックスなど)が使えるようになり、怖い病気ではなくなりました。しかし、まずは精神的、肉体的に安静を心掛け、できるだけ早い時期に治療を始める方が早く治ります。皮膚科、内科や整形外科などで適切な投薬や指導を受けてください。顔面のヘルペスのときは、眼科や耳鼻科を受診することもあります。病気が治まってからも神経痛が続く場合などは、消炎鎮痛剤や、ビタミンB12の投与などの適切な治療が必要です。2010年にリリカという帯状疱疹後神経痛に非常に有効な、新しい鎮痛剤が発売されました。
 帯状疱疹はほとんど人にうつることはありませんが、水ぼうそうにかかったことのない人にはうつることがあります。そのため小さな子どもは近づかないようにしたほうがよいでしょう。また、帯状疱疹は一度かかると再びかかることはめったにありませんが、からだの免疫力や抵抗力が極度に低下しているときは再発することもあります。
 背中や胸部の痛みだけでまだ皮膚に発疹がないときに整形外科のクリニックを受診し、レントゲン検査で異常がなくて湿布だけをもらって帰ってから、水疱と強い痛みが出現し、あわてて皮膚科へ受診することもよくあります。整形外科医にとっても、いつも念頭に置いておく必要のある病気です。

※胸・背中「肋間神経痛」
 背部から胸部や腹部にかけて肋骨に沿うようにピリピリした痛みが生じます。帯状疱疹による肋間神経痛(上記、総論「ヘルペス」)や胸椎の 圧迫骨折 に伴う場合や、原因のない場合もあります。片側にのみぴりぴり感が生じる場合と両方に生じる場合があります。肋間神経痛でも必ずしも肋骨に沿って痛みが走るだけでなく、胸部の前の方にチクチクと痛みが一点に生じる場合もあります。胸の圧迫感や締め付けられるような症状が出ることもあります。特に両側の肋間神経痛が同時に起こった場合に締め付けられる感覚が多いようです。2~3日後に皮膚に赤い発疹が出るときはヘルペスの可能性が高いと思われます。ヘルペスであればまずその治療を行います。ヘルペスではない肋間神経痛に対しては、消炎鎮痛剤やビタミンB12、リリカなどの投与を行います。痛みがかなり強く、なかなか軽減しないこともあります。頚椎椎間板ヘルニアなどによる上肢の神経痛(「頚椎椎間板ヘルニア」、「頚椎症性神経根症」)や 腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛(「腰椎椎間板ヘルニア」、「根性坐骨神経痛」)の場合、痛みが激烈なことがありますが、肋間神経痛でも激痛のことがあります。肩甲部の筋肉痛、肋間筋や腹筋の痛みのように思えても、実は肋間神経痛であることが案外多いようです。

井尻整形外科井尻整形外科

院長/医学博士 井尻慎一郎
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