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根性(こんせい)坐骨神経痛

 坐骨神経は腰椎、仙椎から出る神経根が数本集まってできる太い神経です。この神経痛を生じる病気には、脊柱管(脊椎の中で神経を上下に通している部分)の中かすぐそばに原因がある根性坐骨神経痛と、殿部(でんぶ)の筋肉などに原因がある坐骨神経痛があります。普通に坐骨神経痛といえば根性坐骨神経痛のことですが、その原因は 腰椎椎間板ヘルニア腰椎分離症腰椎すべり症 などいろいろあります。両側の場合も左右片側の場合もあります。多くは神経が何らかの原因で圧迫され、炎症を生じて痛みやしびれや麻痺を起こします。
 治療は原因を除くことが原則ですが、必ずしも原因を除けなくても神経の炎症が軽減すれば症状がなくなることも多いのです。局所の安静と消炎鎮痛剤の使用や症状が強いときは硬膜外ブロックなども行います。数年前から発売されているリリカという末梢神経遮断薬は胃腸を痛めず、神経痛を少なくしてくれる優れた薬です。最初からたくさん飲むとふらついたりめまいを生じることもあるので、少量から始めて徐々に増やします。私の経験では、ある量を超えたときに神経痛がかなり少なくなるような印象です。さらに神経の活動性を高めるビタミンB12を服用するのもよいでしょう。神経痛が激しいときは消炎鎮痛剤だけでは痛みが軽減しないこともあり、このような場合には消炎鎮痛剤と並行して抗不安薬(マイナートランキライザー)を服用すると痛みがましになることがあります。「腰椎椎間板ヘルニア」でも述べましたが、たとえば腰椎椎間板ヘルニアの大きさがそのままでも、神経の炎症が治まれば痛みやしびれなどが軽減することが多いのです。神経はゆっくり生じる圧迫に対してはかなり強いものです。

井尻整形外科井尻整形外科

院長/医学博士 井尻慎一郎
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