変形性膝関節症
膝関節が、年齢や使いすぎ、そのほか外傷や感染などの原因により変性した状態です。最初に軟骨がすり減り、進行すると骨まで変形します。変形性膝関節症と区別すべきものには、リウマチ性膝関節炎(関節リウマチ)や 痛風性膝関節炎、化膿性膝関節炎、大腿骨内顆骨壊死症(だいたいこつないかこつえししょう)などがあります。
症状は膝関節の痛みと腫れなどです。初期は、動きはじめの痛みが特徴的で、長く座っていて急に立つときや階段の下り、歩きはじめに多く、動いているとましになることが多いようです。進行すると歩行中もずっと痛みを感じるようになり、関節の曲げ伸ばしに制限を生じたり、夜間に寝ていても痛みを感じるようになります。
治療としては、まず肥満傾向の方は少しでも体重を減らすこと、せめて増やさないことが大切です。2本足で歩く動物は人間だけです。体重を支える膝関節も2つしかありません。しかも寿命がどんどん延びているので、どうしても膝の関節はすり減りやすくなります。無理をしない(走ったり飛んだり重い物を持たない)、冷やさない、ケガをしない(信号で急に走って捻挫(ねんざ)などしない)、運動しすぎないように心がけましょう。関節を温めるというより保温する(温めすぎて低温やけどしないように注意)ことも大切です。最も大切なのは、関節周囲の筋力を増強して関節を守る筋肉のサポーターを作ることです。さらに関節の動く範囲を維持する体操も、無理のない範囲で、たとえ短時間でも継続してやりましょう。
痛みが強いときはあまり我慢しないで、副作用がない限り、消炎鎮痛剤の経口薬、湿布、塗り薬、坐薬などを使います。さらに痛みが続くときは、関節の痛み止め、腫れ止めの注射(ステロイドホルモン:あまり頻回に関節内注射をすると軟骨に障害が出ます)や特に最近ではヒアルロン酸の潤滑液を関節腔内に注射します。サポーターなどの装具も適宜じょうずに使用すると効果的です。
保存的治療で痛みが軽減せず、関節の変形が強く、日常生活に支障があるときは手術を選びます。手術には関節鏡手術、骨切り手術や人工関節置換術などがありますが、最近の人工関節は術後成績も優れ、確実に痛みがとれるので、変形が高度で痛みの強い方にはお勧めです。