化膿性頚椎炎
※このページは、背部、胸椎の「化膿性脊椎炎」を引用しています。
結核菌ではなくてブドウ球菌や大腸菌などの一般細菌による脊椎の炎症です。椎体の骨は内部に海綿骨というスポンジ状の骨があり、細菌がその場にとどまりやすいことや、特殊な静脈叢のために泌尿器系や婦人科系の病気から血行性感染が起こることがあります。また、椎間板造影の検査や脊椎の手術の後に生じる医原性の場合もあります。急性型、亜急性型、慢性型の3タイプがあります。急性型は 結核性脊椎炎(カリエス) と異なり、腰・背部の痛みが強く、中等度以上の発熱を生じたりして、比較的診断がつきやすいのですが、慢性型では炎症の所見が乏しく、診断がつきにくいことがしばしばあります。近年、抗がん剤や免疫抑制剤やステロイドを投与されている方が多くなり、弱毒菌による感染が増加しつつあります。熱があって、背中が痛いときは必ずこの病気を鑑別する必要があります。私が以前勤務していた神戸市立医療センター中央市民病院の整形外科では平成3~9年の7年間で20例の化膿性脊椎炎の患者さんがおられました。私は現在開業して14年になりますが、その間に化膿性脊椎炎と思われる患者さんが3人おられました。いずれも他の病院や医院で診断がついていませんでした。
症状としては腰・背部の痛み、全身の発熱、脊柱の曲げ伸ばし時の痛みなどがあります。治療としては、安静にし、抗生剤を強力に投与します。膿瘍(のうよう)があれば手術で病巣郭清(かくせい)をします。