頚椎後縦靱帯骨化症(けいついこうじゅうじんたいこっかしょう)
頚椎椎体(けいついついたい)、椎間板の後面にあり、脊柱管の前壁をなす後縦靱帯が骨化して脊髄を徐々に圧迫し、脊髄症状を引き起こす病気です。日本で初めて発見され、アジア人に多く欧米人には少ない厚生労働省指定の難治性疾患です。遺伝因子が強く関与すること以外、詳しいことはまだわかっていません。脊椎のいろいろな部位の靱帯(じんたい)骨化をきたす病気の一部分症ともいわれています。
特殊な難病とされた時代もありましたが、外来では症状のない軽度のものを含めれば案外この病気を持つ患者さんが多いという印象を受けます。
症状は後縦靱帯骨化が肥厚し、脊髄を徐々に圧迫したり、あるいは転倒や交通事故の外傷を契機にして軽度から高度までの脊髄症状が生じます。進行すると、手の巧緻運動の障害や下肢の痙性麻痺(けいせいまひ)(たとえば階段を下りるときガクガクとして脚がぬけそうになるなど)、膀胱直腸障害などが生じます。
治療は、症状が軽いときには頚部の温熱療法や頚椎カラーなどを装着します。症状が重篤なときは手術が必要です。